Microace 1/32 '65 PORSHE 991S
五木寛之の小説「雨の日には車をみがいて」に登場するポルシェ911S。当時私は技術屋の端くれで堀越二郎、本田宗一郎、糸川英夫や桜井眞一郎などの日の丸技術者を尊敬しつつも女に無縁な生活を送っていた。そして手に取ったこの小説はヨーロッパ車信仰者の意識高い系主人公、そして訳のわからん気取った女たちとが織りなす短編集で、全く嫌になった。 ちょい昔、仕事絡みで知り合った女性は左ハンドルのヨーロッパ車に乗っていた。イタリアのフィアット・パンダ。左ハンドルでパワーウインドーじゃないし後席の窓はフィックス、おまけに妙な揺れ方をする。こんな車によく乗るよなぁ。助手席の私は彼女に言うと、旦那が勝手にこの車を中古で嫁用として買ってきたそうな。旦那は地方で活動する音楽家でランチアの何だかと言う車に乗っているとか。全く、やな奴だ。 そんなかんだを思い出しつつ、行きつけのホームセンターのホビーコーナーでマイクロエース・オーナーズクラブのポルシェ911s、税抜き800円を買った。マツダやホンダの軽自動車と同じ値段(笑。何となく作り易そうだし、箱絵もかっこよかった。 いつものシンプルな組み立て説明書。 このキット、二色成型でメッキパーツが付く。 前後のバンパーがブラック成型の下部シャーシと一体になっている。上部シャーシはホワイトの成型色なので何かと面倒だった。オーナーズクラブのキットは往々にしてこのような妙なパーツ割がある。 今回はラッカー系のグレー・サフをスプレー吹きした。塗装面の研ぎ出しをしていて思ったが、ラッカー系のサフの方が明らかに喰い付きがいいようだ。 完成して眺めて思う。1965年にこんな車をポルシェが作っていたなんてはやり凄い。車幅は1610㎜しかないナローポルシェなので、日本の街も走らせやすい。でも50年以上も前のクラシック・スポーツカーでまさに走る芸術品。とんでもない価格だろう。実車は走らせるよりも飾っておくことになる。ポルシェ911Sは税抜き800円のプラモになっても品格を感じる。魂が宿るのかな。今なら、フィアット・パンダの彼女の旦那、ランチア何とかに乗っている彼とも10分の立ち話ならできそうだ。